いちばんの星


その時、部屋のドアがノックされエミリアが部屋へと入ってきた。



「ミュリエル。今夜はあなたの番よ。くれぐれも失礼のないようにね」



そう言うと、にこりと微笑んでミュリエルの肩をポンと叩き部屋を後にした。



――ついにきた…



たたかれた肩が妙に熱い。



「よかったわね。がんばってね、ミュリエル」



そう言って無邪気に笑うラナに「ありがとう」と告げるとミュリエルは少し散歩がしたいと言い部屋を後にした。



使用人にとって国王と一夜を共にできるというのはとてもありがたい事なのだ。



先ほどのラナの話からもそれは十分すぎるほど感じているつもりだ。



城で働く以上、ミュリエルもそれを"仕事"としてこなさなければならない。



でも…



震える手をぐっと握り締める。そしてその時初めて実感した。



私は【使用人】になったのだと――…



複雑な思いのまま、次第に夜が近づいてきた。



意を決したミュリエルはゆっくりとその歩みを進めた。



――国王がいる、部屋の方へと…



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