いちばんの星
――――――
今ミュリエルは国王の部屋の前にいる。
ふぅと息をはくと、ノックをして「失礼します」と声をかけた。
「入れ」
低く落ち着いたその声を聞くと、ミュリエルの体がビクリと震えたが意を決して扉を開けた。
もう…覚悟は決めた。
部屋へゆっくりと歩みを進めると、ゆっくりとその視線を上げる。
その瞬間――ミュリエルはそこにいる人物に目を奪われた。
(この人が国王…)
部屋の中にいたのは、思わず目を奪われずにはいられないほどの美しい男性だった。
ソファーに腰掛け酒を飲む美しい男性をじっと見つめていると、隣に寄り添うように座っている女性が口を開いた。
「あら、随分美人ね。ねぇ…ヴェルヌ様…」
そう言うと女性はヴェルヌの頬を妖艶な手つきで撫でた。
「……さぁ、さっさと始めるか」
そう言うとヴェルヌは立ち上がりベッドの側へ行き腰掛けた。
しかしなかなか動こうとしないミュリエルに苛立ったのか「おいっ」ともう一度声を掛けた。
すると、それまでただ立ち尽くしていたミュリエルが震える声でヴェルヌに訪ねた。
「本当に…そういう事を…」
ヴェルヌは一瞬目を丸くして驚いたがすぐにまた冷たい口調で話し始めた。
「あたり前だろ。さっさと来い」
すこし呆れたような様子のヴェルヌを見て、先ほどの女性がクスクスと笑い出した。