いちばんの星


一度、スティークはラナになぜミュリエルがあんなところにいるのか尋ねた事があったが、ラナはその理由を話そうとはしなかった。



理由を聞くのは無理だと判断したスティークは、それならばと自分もミュリエルの元へ行くことを半ば強引に認めさせた。



近衛隊長として、さすがに放っておくことはできなかったのだ。



この日、城の入り口で待ち合わせをしてふたりでミュリエルの元へ行く。



どちらかの仕事が立て込んで行けない場合は行ける方だけがミュリエルの元へ向かった。



初めは仕事の一巻として考えていたスティークも、次第にミュリエルとラナの人柄に惹かれていき、楽しみだとさえ思うようになっていた。



ラナも美しい女性だが、ミュリエルは容姿以上に惹かれるものがあった。



今まで自分が相手にしてきた令嬢とは違い、まっすぐな芯のようなものが感じられるミュリエル。



(どこか…ヴェルヌに似てるな)



そんな彼女に抱く思いはひとりの男としてなのか、それとも…




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