いちばんの星


ヴェルヌの体温を確かめるように、ミュリエルもヴェルヌの背中に腕を回した。



自分の腕の中で感じる体温が、背中に回された腕が、これほどまでに心地いいなんて……



ヴェルヌは、このとき初めてミュリエルを、他人を【愛しい】と思った。



「ヴェルヌと、そう呼べ…」



少しでも長く、少しでも近くに君を感じていたい。



再びヴェルヌは、そっと唇を重ねた。



そのまま、ヴェルヌの唇が下へと下がっていく…



その時ミュリエルの体が小刻みに震えていた。



ヴェルヌはミュリエルの額に優しく触れるだけのキスをするとそのままミュリエルを抱きしめた。


「ヴェルヌ…様?」

「今はこれで十分だ」



ミュリエルの体を抱きしめながらヴェルヌが優しく微笑んだ。



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