いちばんの星


――俺は、ひとりの女の守り方さえ知らなかったんだ。



そんなヴェルヌの言葉を、ミュリエルはヴェルヌの腕の中でじっと聞いていた。



「自分がわからなかった…お前に惹かれていってる自分が…でも…もう離さない…」



ミュリエルを抱き締める腕の力が緩んだと思うと、ヴェルヌの指がミュリエルの顎をぐいと持ち上げた。



「ミュリエル…俺はお前に惚れてるらしい」



そう言って少し照れたように笑うヴェルヌに、ミュリエルは涙が止まらなかった。




「私、もっ…んっ」



それ以上ミュリエルは言葉を発する事ができなかった。



ミュリエルの唇はヴェルヌによって塞がれた。



二度目となるヴェルヌとの口づけ…



一度目は、悲しい別れの口づけだった。



しかし今回は、愛に溢れた優しい優しい口づけだった…



ヴェルヌはそのままミュリエルの体を抱き上げると、そっとベッドに寝かせた。



そして、ミュリエルに覆い被さるようにミュリエルを抱きしめた。



「国王さま…」












< 63 / 126 >

この作品をシェア

pagetop