いちばんの星


ヴェルヌとスティークの仲は知っていたので、初めはヴェルヌに聞いたのだと思ったが、ミュリエルが出て行った理由をしらないスティークに疑問を感じたのだ。



「見回りの人間が見かけたんだって。まだヴェルヌとは話してないんだ」


エルトの聞きたかった事をずばり答えたスティークは、はぁとため息をはくと再び頬杖をついた。



「ミュリエルに…気がおありで?」



真剣な顔でそう聞くエルトにスティークは笑って答えた。



「前も、同じような事を聞かれたな…」


―――――


それは、ミュリエルに会いに食糧庫へ行った帰りだった。



「スティーク様は…ミュリエルの事…」



そう聞いたのはラナだった。



泣きそうな顔でそう聞くラナにスティークは笑顔で答えた。



「うん…好きだよ…」



スティークの言葉に、ラナは静かに俯いた。



「でも…」

「え…」

「恋愛感情とかじゃなくて…妹みたいな感じかな…彼女、俺の親友によく似てるんだ」



だから…恋愛感情なんてもんじゃない。



ただ…幸せになって欲しいんだ。


―――――
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