いちばんの星
しかし、ヴェルヌとミュリエルが結ばれないというのは身分の違いから当然であるという事は、ミュリエル自身も感じていた。
「これで…よかったんだわ…」
小さく呟くと、ミュリエルは再び暗くなった店の掃除を始めた…
――――――
「国王様…」
ヴェルヌの隣で共に眠る使用人が、甘い声でヴェルヌに囁く。
(馬鹿な女だ…)
そう思いながらも、ヴェルヌは使用人の体に再び唇を落とした。
ミュリエル…
一瞬よぎった忘れたはずの女性の笑顔…
「くそっ…」
ミュリエルの顔を消し去るように頭をふると、ヴェルヌは使用人の唇に口づけをした。
もう…彼女はいないんだ…