いちばんの星
夜が明ける頃、まだ眠る使用人をそのまま残しヴェルヌは着替えて公務室へ向かった。
おそらく目覚めた使用人はヴェルヌがいない事に驚くだろうが、所詮は体だけの関係。
それ以上の感情はないだろう。
ミュリエルが城を出て以来、ヴェルヌは毎日女性を部屋に呼んでは一夜を過ごした。
まるで、ミュリエルと出会う前のように…
しかし以前と違うのは、ヴェルヌが部屋へ呼ぶのはラナのような純粋で男を知らないような使用人ではなく、娼婦やそのような関係でも文句を言わないような女性ばかりだという事だ。
公務室へ着いたヴェルヌは、ドカッと椅子に腰を下ろした。
部屋の窓から中へ差し込む光がヴェルヌの美しい金の髪を照らし、キラキラと美しく輝いている。
「ふぅ…」
ヴェルヌがため息をついたちょうどその時、がチャリとドアを開けスティークが入ってきた。
見回りから真っ直ぐ来たのか、いつもは束ねられている薄い茶色の髪が肩にかかっている。