逆らえない
おつかい
日比野の恫喝によって、安西はすっかり脅えきっていた。

こうなってしまえば、安西は絶対に逆らえない。

完全に主導権を握り、それでも寛大な態度を見せるように。

「まぁまぁ日比野、そんなデカイ声出すなよ。安西先輩が怖がってんだろ?」

畠山が日比野を制した。

そして、涙ぐむ安西に歩み寄る。

…後ずさりする安西に構わず、ゆっくりと近づく畠山。

遂には完全に壁際に追い詰め、それでも体を寄せる。

胸と胸が密着し、畠山の唇が安西の耳に触れそうなほど近づく。

頬を赤らめ、安西は目を閉じた。

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