マイスィートアフタヌーン
「ありがとう」

 馬車の扉は容赦を知らない。まさか知っていてはつとまらない。


どれほど目のいい者でも無理なくらい遠ざかり、フレディがそろそろ肩を叩いても良いだろうと手を伸ばした時、振り返ったジョンは哀しげだった。

併せて哀しげな声で言う。


「帰らなくてはなりませんか? 頭の中がごちゃごちゃなんです。話を聞いてもらえませんか」


 ここで彼を一人で放り出すなんて、どれくらいの人でなしなら可能だろう?

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