《短編》ヤンキーの姉2

抱擁

英治の言ったとおり、二人の不良はあたしを人質にとる暇もなかった。

問答無用で口ピアス男の顎に拳を食らわせ、赤髪男の鳩尾に蹴りを食らわせる。


たったそれだけで、二人の男はコンクリートの固い床に崩れ落ちてしまった。



少し息を切らした英治が、あたしを見る。



この義弟の所為であたしは毎回こんな目に合っている。

でも、そのおかげで英治の美しい戦いが見れるんだ。

酷い目に合うのはやっぱり嫌だけど、英治のカッコいい姿を見れるのは素直に嬉しいと思った。


英治は、何も言わずにあたしを縛り付けているロープを解くと、強い力であたしを抱きしめた。

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