明日は
SCENE 3
 中学三年生になって、子吉沢はやっとクラスの輪に入れた気がした。

 これも強引に誘った美帆に感謝をしなけばならなかった。加えて、真猿と克物も間接的にお礼が言いたいくらいだ。

 話し上手の真猿と克物はいつも、周囲にクラスメイトが集まってきていた。

 時期は秋になり、高校受験を控え、教師たちはプレッシャーをかけてくる。気を抜かないようにとの配慮なのだ。もう、ウンザリと担任の大佐古宏之教諭に言いたいくらいだ。



「今日から転校生がきた!」

 朝から大佐古教諭が入ってくるなり、言うとクラスメイトたちは驚きの声を上げるのだ。

 中学三年生の秋に転校生などありえないのだ。

 修学旅行や運動会などの行事は春に済ませ、秋は受験に備える時期でもあり、よほどの理由がないかぎり、転校などしない。

 教室のドアが開き、一人の生徒が入ってきった。私服だ。白いYシャツにブルージーンズだった。

 教壇の前で止まると、少しうつむきかげんだ。
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