零の狼-新撰組零番隊-
第四幕
河川敷に冷たい風が吹く。

対峙する私と一七夜月さん。

「言っておくが」

彼は私を見据えたまま言った。

「同じ新撰組だ隊士だと騒ぐが、俺には仲間意識なんぞは毛ほどもない。既に気づいているだろうが、俺が入隊した目的は、『首刈り雲母』…七種雲母への復讐の為に過ぎない」

…一七夜月さんの心中は察する。

矜持をかけた自らの戦いの最中に割って入られ、好き勝手にかき回された。

あまつさえ、その乱入者の戦いぶりに畏怖を覚えた挙句、その戦いぶりのせいで、直接手を下していない自分が祭り上げられた。

侠客として、これ以上の屈辱があろうか。

屈辱は、自らの手で注がねばならない。

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