紅い部屋

路地

あたしが毎日来る路地。

そこで、あたしは毎日歌を唄っていた。

人通りは少なくて、あまり聴いてくれる人は居ない。

それでもあたしは唄っている。


そんなあたしの夢は、もちろん、歌手。

昔、父親が歌を教えてくれた。それから、あたしは歌を唄っている。


ギターを抱えて、あたしはひとりで唄う。

「唄、上手いな」

男の人があたしに言った。

あたしは思わずギターを弾く手を止めて、その男の人を見た。


「キイチー?」

「おぉ、今行く!・・・じゃぁな」


男の人は、一緒に居た女の人の所に走っていった。


あたしは再びギターを弾き始めた。
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