レンズ越しの君へ
その後は、どこにも寄らずに家まで送って貰った。


「明日も店に行くから。じゃあ、またな」


廉は呆然としたままのあたしに笑顔を向け、車に乗って去っていった。


ファミレスから家に着くまで、どんな会話をしていたのか覚えていない。


頭の中では、さっきの出来事が何度も流れている。


廉に家を教えてしまった事に気付いたのは、お風呂に入っている時だった。


やっと落ち着いたあたしは、湯舟に浸かりながら今日の出来事を思い出していた。


いくらファミレスから後の事は覚えていないとは言っても、安易に家を教えてしまった事をすごく後悔した。


廉だって、店に来るお客の中の一人…。


危険な男だと感じている彼が安全な保証なんて、どこにも無いんだ…。


浅はかな行動をしてしまった事にため息を漏らし、そんな自分自身を湯舟の中で恨んでいた。


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