とろけるチョコをあなたに
 その頃はまさか絵理に恋人が出来るなんて考えてもいなかったし、オレが本当に彼女に好意を持ってしまう事になるとは夢にも思わなかったわけで。

 自分がさせた約束が原因で毎日毎日自分の感情を持て余す事になろうとは。つくづく昔のオレは阿呆である。

 絵理はそんなオレの感情など露知らず、青司と二人連れ立ってオレのほうにやってきた。一緒にいることが当り前の空気が二人の間に出来上がっている。

 この二人が表立っていちゃついてるところなんて見たことがないし、交わされている会話もパソコンで行っているチャットのログも恋人同士特有の甘い会話なんて一つもない。

 その癖、こと恋愛に関して他人が入り込む余地など全く感じさせない。

 その事が悔しくて、苛立たしくて、悲しかった。

 この後は三人で一緒に校門まで行って、そこで青司と別れるというのがお決まりのパターンだった。

 無言で歩いてるわけではないので、移動している間にも取り留めのない雑談を交わしているわけなのだが。
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