ティアラ2

天使のペース

手作りクッキーがたんまり入ったバスケットを持って、TAMAKIへ出勤。昨夜、お菓子づくりが得意な妹に手伝ってもらったの。

「京香って気がきくよなぁ」

「うん。しっかりしてて、でも控えめで……あんな天使みたいな子が彼女だったら、幸せだろうな」

控え室のドアを少し開けたとき、中にいた従業員たちの声が聞こえてきた。

「……」

また京香かよ。

レンタルショップに勤めて、数日。まだ1週間くらいしか通ってないから、従業員たちの名前は覚えたけれど、仕事はまだまだって感じ。

だけど、ひとつだけわかったことがあるの。

「竹下くん、沢木くん、おはようございます!」

ここの従業員のほとんどは、あの女……笹野京香のことをえらく気に入っている。
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