花の魔女
「どうかしら?」
首を傾げて尋ねるナーベルに、ジェイクは手のひらを握ったり開いたりしながら答えた。
「どうって……力が回復したみたいだ。お前、何したんだ?」
唖然とするジェイクに、ナーベルはふふんと腰に手をやり胸をそらせた。
「何って、花の力よ。フィオーレに教わったの。まだ完璧ではないんだけど……リスが生気で元気になるのなら、精霊はこの力を与えたらどうなるかしらって、思ってやってみたの」
そう言って、実験台にしちゃってごめんね、と謝った。
「でも、もしかしたらこれでフィオーレも目を覚ましてくれるかもしれないわ。ジェイク、フィオーレのところへ行って試してみましょう」
ナーベルはくるりと方向転換し、まさに今来た道を戻っていった。
「あ、ああ……」
ジェイクは驚きつつも、フィオーレが目を覚ましてくれるかもしれないことに期待を覚え、駆け出すナーベルのあとを追った。