「僕が婚約をしていたのは知っているだろう?」


コクンと頷く。

最近アリアから聞いたばかりだけど、ラルフの婚約者は隣国の美しい姫ソフィア様。




「今回婚約破棄をしたのは政略結婚が嫌でね。そもそもまだ身を固めたくはないんだ」


困ったように笑いながら肩をすくめるラルフ。



「だが、王位継承権があるのが僕一人だけだからか、両親が本人以上に妃探しに必死でね。分かるだろう?」


それはこの大規模な舞踏会が開かれたことで十分に伝わってきた。

王家の家系に生まれたからには、世継ぎを残すことが義務でもある。

国の存続のため、妃を迎え子孫を残さなければならない。

一人息子がこの歳になって婚約破棄をしてしまった国王様がこうして舞踏会を開いた気持ちも分からないでもないけど…

王家の家系に生まれたためにそのような運命を背負い、好きでもない女性との結婚を強いられることは正直可哀想だと思う。





「つまり私が妃になって貴方が最適なパートナーを探すまでのカモフラージュになってほしいと?」

「その通りだ。ただし何の見返りもなくとは言わないよ」


良く理解してくれたと言わんばかりのラルフ。