パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
第7章 ゴールドに輝く月



―ウワサ―



「…もしもし、おはようございます。石田です。こんな朝早くにすみません」


「……はい。何?」


奈桜はチラッと時計を見た。
朝の6時。
こんな時間に石田が電話をかけて来る事はまずナイ。
悪い話だと直感で分かった。


「すみません!私の力不足でした!」


声の感じから、おそらく電話向こうで体を直角に曲げて謝っているであろう事が分かる。
真面目な彼女らしい。


「ドラマの事?」


寝ぼけた声であるが優しく聞く。
これ以上、石田を苦しめない為に。


「はい…、あの…本当にすみません!何とか話をつけたつもりだったのですが…私が強引だった事が失敗でした。変に思った木下マネージャーが神川プロデューサーと連絡を取ったんです。今日、午前10時から日読テレビで会うそうです。奈桜さん、どうしますか?神川プロデューサーは奈桜さんの秘密をバラさないって信用出来ますか?」


石田にしてはかなり不安げな声。
自分で何とか出来なかった責任も感じているだろうし、もしかすると奈桜の秘密がバレるかもしれないという切羽詰まった思いもあるのだろう。
奈桜は自分のせいで石田まで苦しめている事に胸が痛んだ。
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