Dangerous city
「何らかの影響って何よ」

ハルカが言う。

「まさかゲームやB級ホラー映画みたいに、ウイルスや寄生虫のせいで住民が化け物に変わってるなんて言わないでしょうね!」

「それこそ映画の見すぎだ」

俺は部屋のドアを僅かに開けて、ホテルの廊下の様子を窺う。

街中が化け物やゾンビの類で埋め尽くされている方が、ずっとわかりやすい。

自衛隊でも要請して、一掃すれば済む話なのだから。

原因が分からないからこそ、迂闊な判断を下す訳にはいかない。

公安外事四課の人間として、事態の究明をしなければならない。

…この街には、あくまで休暇として訪れている。

職務中のように、捜査官として拳銃を携行していないのだ。

およそ武器と呼べるものは身につけていない。

丸腰のままでハルカを守りながら、安全な場所まで移動しなければならない。

錯乱者一人ならば、先程のように格闘術だけで事は足りるが、もし暴徒が徒党を組んで押し寄せてきたら…。

その事に一抹の不安を覚えた。

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