ミシッミシッと歩くたび、音を立てる廊下。





風情を感じさせる日本庭園はライトアップされている。





「…………さいっ………お……まっ。」


「………きますっ。」





もうすぐ着く椿の間付近から、似つかわしくない声が途切れ途切れに聞こえる。





スパンッと大きな音を立て開いた襖から、少女が出てきた。





色鮮やかな振り袖を来た少女は小走りでこちらに向かってくる。





「きゃっ。」


「あの、大丈夫……。」





僕とぶつかってしまった少女は床に倒れ込んだが直ぐ様立ち上がり去って行ってしまった。





僕の言葉を全部聞く間もなく……。





出て来た時も、ぶつかって転けた時も少女は一度も顔を上げる事なく、俯いたまま。





「どうなさったの?」


「先ほどまでは待ってらしたんですが、いきなり立ち上がり帰ると言い出してしまって……すみません。お止めする事が出来ませんでした。」


「困ったわね……。相手方、こちらの方なんですけど。」





この高級料亭の女将と若女将がなんともいえない表情でこちらを向いた。




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