ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├王子様の覚悟

 櫂Side
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やけに…饒舌だとは思ったんだ。



芹霞の声が戻った。


その喜びを感じ入る時間も与えずして、


『昨日ぶり~、気高き獅子』


――誘われる。

次なる舞台(ステージ)へと。



氷皇は…意味ない動きはしない。

情など…ありはしない。


ならば――。


芹霞の傍に居るのは必然。

芹霞の声を戻したのも必然。


氷皇が、話を聞かせたかったのは…芹霞や陽斗ではない。



電話の向こう側に居る――


………俺だ。



氷皇は判っている。


俺達が元老院に…藤姫に会って、何をどうされたのか。

俺がどんな心境で居たのかも。


全て判っているからこそ、聞かせたんだ。


それは…紫堂のしでかしたことへの皮肉だけではない。


俺に聞かせたことも…必然。


『いや~お見事だったね~。"あれ"、公開処刑って奴? あははははは~』


公開処刑――。


俺は…少し前までを思い出す。


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……
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