ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├王子様の覚悟

 櫂Side
**************



――永遠なんて…俺を殺す気かよ。



どうして――

あんなことを言ってしまったのか。



芹霞相手に、それは禁句だと判っていた筈だったのに。



――やだやだやだッッ!! 離せッッ!!!



俺の手を拒んで、煌に逃げ込んだ芹霞。



"男"の煌は、俺を弾いて。

"男"の玲は、俺に挑んできて。



"男"を拒絶された俺に残されているのは、俺の矜持だけ。



奪おうとしているものも、

奪われようとしているものも。


全てが俺から剥がれて行く。



――芹霞ちゃあああん!!



行かないで。


俺から離れないで。



「……芹霞」



芹霞が居ない。


芹霞が俺の傍に居ない。




――芹霞ちゃあああん!!



戻ってきて。


俺の元に戻ってきて。



「芹……霞…」



今も昔もお前だけを想っている。


もうずっと。


気が遠くなるほど長い時の中、

抱き閉じ込めてしまいたい程強く。


< 805 / 974 >

この作品をシェア

pagetop