記憶 ―惑星の黙示録―


ワン…
『…また難しい事言ってる。…ん~俺、昔居たって言うナオの世界覚えてないぞッ?』

「…だからな、記憶は消されるのが掟。完全に覚えられてたら俺が困る。」


記憶は消されるのが、掟。

世界にとって、
「時間」は「無意味」…


私より未来に生きていたコンちゃんが、過去の別の世界に転生して…
今、私と会ってる…

6つ在る世界の、
中間地点だと言うこの場所で。


そんな事、
あり得るの…?



「…リュウさん、貴方は一体…」

何なの…



「…俺は、時間も空間をも越える存在。この場所を守る者であり、…そして、人の『運命』を正す者。運命を紡ぐ者…。」


人の、運命を…?


呆然と座り込む私たちの前で、
花たちを傷付けない様に立ち上がると、リュウさんはふっと顔を緩めた。


「…お前さんたちも、じきにこの花畑での事は忘れる…。俺は、皆の記憶から消される存在。影の存在なのさ…」


その笑顔は、
少し悲しそうにも見えたんだ。


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