泣かないで。
私たちの学園ライフ
実柚side

・・・・学校、行きたくない。


「おはよ~!」

活発な声がした。

振り返ると、そこには同じクラスの女の子がいた。

「優月、おっはよ~」

クラスのほとんどの女子が集まっていた。

あたしは、そこを避けるようにして通ろうとした。

ドンッ...!!

「いったぁい。なぁに」

茶髪の女子の一人が大袈裟に言ってきた。

「あ、ごめ・・・・」

あたしが、言葉を発したときだった。

「うわ、触んないでよ!汚れちゃうじゃなぁい」

ロングヘアーの女子が自慢げに髪をいじった。

「なになに~」

周りの女子が集まってくる。

「なぁんだ。なんだっけ? えっとぉ、松井・・・?じゃなくて」

「松本!!」

「違うよ~」

きゃあきゃあする女子の会話。

あたしは、苦手だった。

「蒼井 実柚さん」

「・・・え」

あたしの名前を覚えてくれている人がいた。

・・・誰?

「私、神山 優月」

にこっと微笑んだ彼女は、あたしにも笑みをこぼすほどだった。

周りの女の子たちとは、違う。

あたしを、一度守ってくれた。

彼女は、名前を言い終えた後耳元で

「私、実柚さんのこと、好きだよ」

小さな声で呟いた。

とっても、小さな出来事。

でも、あたしはそれが嬉しかった。




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