紳士的なLady
華咲ディヴェルティメント



「始めっ!」



審判の鋭い声が響き渡る。




中段に構えて、私はじっと相手の動きを見る。




「ヤァッ!メェェェン!」



相手の大きな声と、私の声。

ピシン、ピシン、と竹刀が交わる音。





あと少し……!



「ドォォォーッ!ツキィィィ!」





パァンッと、一際硬い音が貫く。


やった!!



「止めっ」




勝った……!



「ありがとうございました」



礼をして、ゆっくりと皆のもとへ向かう。



「お疲れ様でした!先輩、これで決勝進出ですよ!」



ワッと群がってきた後輩たちが、嬉しそうににこにこ笑う。





ついにここまで来た。


今日は、大事な試合の日。


杉村さんの姿はまだ見ていないけれど、試合結果を見る限り、彼女は勝ち上がってきている。


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