黒の世界
ソウキという人。
綺麗で、とても魅力的な男。
彼はそれだけ言って、すぐに部屋を出ていった。
低く、甘美な声で。
「ナナちゃん、気にしないで。あいつ、今不機嫌だから」
秀の言う気にしないでとは、ソウキが私に対して何も言わなかったことなのだろうか。
・・・そんなこと、どうでもいいのに。
「ナナちゃんのせいなんだけど・・・まぁ、いいや」
「ん?今なんて?」
「いや、いい」
秀は、なんとも言えない笑みを浮かべた。