CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=

1.Hard Rock

 



暇だ暇だと嘆いていた本堂さんも、今日はニコニコ顔じやん!


毎日満室状態とは、凄いな!


この俺達の、人気のおかげでって言ってたけど、いつまで続く事やら。


皆の為にも、アボジ(親父)の会社の為にも、もっと頑張らなくっちゃ!


ルーム4-Hに入ると、ジョージがケントの書いた譜面とにらめっこしていた。


「ジョージ、どうしたんだ!?

皆、もう聴いた?」


『未だなんだ。

ケントの作った譜面を見てから、ずっとあんな感じなんだ。』


「ケント、ジョージが悩むくらい、難しい曲作って来たんだな?」


『な訳無いじゃん!

初めて書いたのに。』


「ジョージ、どうしたんだよ!

弾いて聴かせてくれよ!」


『ちょっと無理かもしれないじょ!』


「どうして!?」


『32章節の中に、変調が8回ある曲って聴いた事無いじょ。』


俺は、ケントの作った譜面を見てみた。


そして、あることに気が付いた。


「ケント、マイナーコードとかは知ってるよな!」


『聞いた事は有る。』


「変調しなくても、例えば、この音はここに♭を付ければOKなんだよ。」


『なるほど、そっかぁ。

じゃあ、ここもこの音をこうして…。

出来た!

これで良いかい!?』


「飲み込みが早いね!

さすがT大生!」


『アッ、今バカにしただろ!?』


「してない、してない。

ホントに飲み込み早いよ!」


『じゃあジョージ、これで弾いて見てくれ。』


「わかったろ。

♪~♪~♪~!」


『もう一度頼むよ!』


「OK!」



~♪~♪~♪~!


ジョージが演奏するキーボードに併せて、俺はギターで伴奏を入れてみた。


それを聴いたテジュンが、その伴奏をベースで弾き始めた。


ケントは勿論、自分の作曲したものだから、ドラムを入れていったので、俺はギターで飾り付けていった。


『なかなか良い曲だにゃ!

ケント、ハードロックが好きになるよ!』


「本堂さんのシゴキのおかげで、メロディーラインだけでも、なんとなくセッション出来るようになったな!

もうちょい煮詰めていけば、なかり良い曲が完成しそうだなぁ。」


『もう一度やってみようぜ。

KYUは、ここに歌詞が有るから、良いところで入ってみてくれ!』


「分かりました。」







 
< 223 / 300 >

この作品をシェア

pagetop