CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=

2. Summer Memories

 


  《8月6日》

イベントライブ当日、オールスタンディングのライブハウス゛CHANCE゛では準備も整い、最終チェックも完了していた。

1階のエレベーター横にある地下への出入口の扉を開け、階段を降りたらすぐに、ちょっとしたスペースがあり、突き当たりにドリンクカウンターが有り、その横が御手洗いである。

階段を降りて左手がライブハウスになっている。

中は150人入れるライブハウスになっていて、ステージは対バン出来るように、10数名での演奏も可能で、奥行5m×幅15m程ある。

ステージの対面には、左右5本ずつ、計10本のスポットライトが有り、その中央のコントロールルームでは照明の操作は
勿論、音響全般の調整の他に録画も出来るようにもなっている。

客席の天井には、ミラーボールやストロボライト、スピンライト、スイングライトが取り付けられており、その他にも無数の麦球が埋め込まれている。

壁上部にはネオン管でCHANCEと書かれており、その回りには☆印で型どられている。

一見しただけだと、一昔前のディスコの様にも見える。

アボジ(親父)の趣味らしいが、やり過ぎ感たっぷりである。

今日のイベントは午後6時から始まり、9時までの3時間が一応の予定となっている。

最終エントリーは9バンドで、1グループの持ち時間は20分弱、絶対に3時間では終わらないだろう。

XYZの他には、

B5、OLD RIPSは勿論の事、残りの6バンドは関東ではかなり名を馳せたグループばかりであり、アボジ(親父)は、その中で将来のプロのミュージシャンの卵を探そうとも考えているそうだ。

昼過ぎからリハーサルが始まり、滋賀からやってきたOLD RIPSのメンバーが今はステージでPROUD OF YOUを歌っていた。

音響スタッフにエフェクターの種類やマイクのエコーレベルについて打ち合わせをしながら、川口さんと西川さんが中心になって、指示を出していき、5分間のリハーサルが終了した。

次は、B5がリハーサルに入って、川口さんが俺の方にやって来た。

『こんにちわチャンス!』

「お久しぶりぶりです川口さん。

今日は、わざわざ滋賀県から有り難うございます。」

『いゃあ、お前の親父さんから連絡が入ってさ、交通費持つから、遊びに来いよって言うもんだから、来ちゃったよ。』
< 67 / 300 >

この作品をシェア

pagetop