傷だらけのラブレター
00:その先のラブレター
「…という、ワケなんだよね。」
カラン、と。
砂糖とミルクを交わせるたびに重なり合う、氷の音。
あの時より数倍大人になった彼は、私の目の前で足を組み直す。
「あの時の俺は、愛未ちゃんを助けたいとかじゃなくて。」
『うん。』
「姉ちゃんと愛未ちゃんを、重ねてただけなんだと思う。」
『へぇ~…。』
そう言って、彼がコーヒーを混ぜるスティックを置いた瞬間、今度は私が別のそれを手にとる。
ミルクを入れた時のアイスティーは、小さな波紋が広がっていくみたいだ。