先生に囚われて
もう元には戻れない



りぃ君の車が見えなくなるとすぐにマンションの中へと入る。

家のドアを開けて中に入ると同時にブレザーのポケットに手を突っ込み、指に触れたモノを取り出してみると――、


あ、携帯。

りぃ君の家を出た時に取り上げられた私の携帯電話だった。


そうだ、私の携帯りぃ君が持ってたんだった。

いろんな事がありすぎて携帯の存在なんて、すっかり忘れていた。


でも、これのどこがそんなに重要な渡すもの、なんだろうか。

しかもその場で見たらいけないほどの……。



意味が分からず、全然腑に落ちない私は「ゔぅん」と微妙な声で唸りながら、着ていたブレザーを脱いでベッドに放り投げた。

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