ガー ネ ッ ト ~不良少女の憂鬱~
プロローグ

深紅の魚





カラン――――…


相手の手から鉄パイプが離れ、コンクリートを響かせた。





"喧嘩は素手でやるもの"


石榴はそういう掟を作ったが

相手は平気で使ってくる。


深紅は
鉄パイプを手に取った。


鉄パイプを見て、

思い出す。



「総長……」


深紅は

鉄パイプを眺めてそう呟いた。

今にも出てきそうな涙をこらえる。




ふと、倉庫全体を見回した。


相手は全滅。


仲間は4分の1。


自分たちの勝利だ―――



しかし、

喜ぶことはできなかった。






< 1 / 63 >

この作品をシェア

pagetop