姉妹
発症
あぁ、また思い出してしまう

思い出したくもない

けれど、私は思い出さなければならない

1年に1度だけ、今日だけは、物心ついた頃から27歳現在に至るまで、全てを








私たちには両親がいない


物心ついたときからいなかったから、私は「親」がどういうものかも知らないし、知らないから寂しいとも思わない


私たちは母方の祖父母に育てられた


祖父は優しかったが、祖母はなぜか私にだけ冷たかった


否、今思えば冷たかったというよりは避けていたのだ


それも、恐怖から





祖父母は広い庭を持っており、典型的な日本家屋に住んでいた





どうして両親がいないのか、疑問に思わなかったといえば嘘だが、聞いてはならないということはなんとなく分かっていた


なぜなら、祖父母は両親について話したがらないからだ


一度だけ、「美紅たちのお母さんはどんな人なの?」と聞いた事がある


そのときの祖父のはっとした顔、祖母の忌々しいと言わんばかりの顔を鮮明に覚えている


さらに、家には両親の写真が一枚もない


両親が生きていた軌跡がこの家には何処にも残っていなかった


きっと全て処分したのだろう


なにか不都合なことがあったのだろうか







美月、美紅 七歳


姉:美月と妹:美紅は非常に仲のいい双子の姉妹だった


・・・あの時までは

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