S的?彼氏の思うコト ~平畠 慎太郎side story~
story 2 ~バイト~
俺、『平畠慎太郎』は、朝から不機嫌だった。
また、この時期が来たからだ。

「安浦可奈子です!宜しくお願いします!」

夏休みに入り、俺がバイトしている遊園地に、また新しいアルバイトが入ったのだ。

(どうせ、『遊ぶ金欲しさ』とか『出会い目的』とか。程度の低い、軽い気持ちなんだろ?)

心の中でそう呟く。
勿論そうで無い人もいるのは分かっている。だが、俺は経験からそんな色眼鏡で新人達を見た。

(それでいて、仕事がキツイとか、割に合わないとか身勝手な理由で直ぐ辞めるんだ。)

俺は毎度のルーティンに嫌気が差し、ワザとらしくため息をついた。

「以上、解散。」

内田マネージャーの合図で朝礼が終わると、人の流れに乗って俺も部屋の外へ出た。

(大体、『人が足りない』とか、『バイト歴長いから』という理由で、俺を新人のお目付役にするのやめて欲しいんだけどな。)

俺を新人の教育係に任命した内田マネージャーにはお世話になっている。
勿論上司でもあるから、頼み事は無下には断れない。
事務室に入って行くマネージャーの後ろ姿を見送った。

俺が、初めて新人の教育係をしたのは、バイトを始めて2年目。大学2回生の時だった。
< 2 / 47 >

この作品をシェア

pagetop