だからこそ、キミは。



本当に、好きだった。



私を愛しそうに見て、目を細める姿とか。

照れたように、私の頭をクシャリと乱す仕草とか。



嫌になるぐらい、隅から隅まで大好きで。




嫌なとこもたくさん知ってるのに、それさえ綺麗な思い出で濁せてしまうほど、大好きだったの。




『佑くん…。』




ポタリ、と。


ひとつ、またひとつと零れ落ちてくるのは、涙みたいな雨粒。



繊細に空から流れ出してくるそれは、なんだか私の気持ちを表してるみたいだった。





< 3 / 437 >

この作品をシェア

pagetop