HELLO
「しゃーないなー」

沈黙を破るように大きな声で言ったかと思ったら、親太朗が笑い出した。

「結局、金持ちにはかなわんかったわ」

本当におかしいと言うように腹を抱え、親太朗は床のうえに転がった。

ひとしきり笑った後、親太朗は大きく息を吐いた。

「相手は医者で、俺はただのサラリーマンやもんな。

どう考えたってサラリーマンが勝つ訳ないもんな」

自嘲気味に言った後、親太朗は躰を起こした。

「まあ、ええわ。

杏樹の恋人になれんくっても、相棒やったら許してやるわ。

まだポジション的にもまだええ方やし…な?」

パチリとウインクした後、親太朗はどや顔をした。

「ほな、さっさと風呂入りますわ」

親太朗はヒラヒラと手を振ると、リビングを出て行った。
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