ずっとあなたが好きでした
応援してくれるんだ…

はぁ。

完璧、振られたんだ、私…

「ありがとう!矢吹くん!」

とりあえず、明るく言えて良かった。

「おう!そんなに好きな奴なんだもんな!今度は上手く行くと良いな!」

「矢吹くんも、頑張ってね!矢吹くんなら、絶対大丈夫だから!」

俊也は私の顔を寂しそうに見て、笑った。

「分かった。」

俊也は私にそう一言だけ言った。

そして

「ここ寒いな!そろそろ帰ろうぜ!」

と言った。

矢吹くん…矢吹くんはどうして、私の気持ちに気付かないの?

「矢田の好きな人って俺?」

って聞いてくれないの?

伊藤くんの時は気付いたのに、どうして自分だって気付いてくれないの?

そんなに私の事興味ないの?

当たり前か…

矢吹くんにとったら、クラスメイトの一人にしか過ぎないもんね…

しょうがないよね…

でも、私今日嬉しかったよ。

私の為に付き合ってくれて…。

今こうして一緒に帰れて、すごく幸せだよ。

けど、もう少しだけ、もう少しだけ、好きでいさせてね?

卒業したら、忘れるから…

良いでしょ?

彼女になりたいだなんて、欲張った事絶対言わないから…

矢吹くんを好きでいる事は、私の自由なんだからね!

ごめんね…

俊也も私の事を考えていた。

俺、いつも矢田を見てたのに、矢田の事何にも知らなかったんだな…。

誰だよ、あんなに好きな人って…。

そいつの話してる時、あいつマジで可愛いかったな…。

一体、誰なんだよ!

家に帰って、私は落ち着いて考えた。

卒業したら、きっぱり矢吹くんの事は忘れよう…。

高校に行ったら、たくさん良い人いるし、好きな人だって、すぐに出来る!

高校には、里加ちゃんもいないし、周りに遠慮せず、思いっきり恋愛しよう…。

そしたら、矢吹くんの事は良い思い出に出来る。

矢吹くんは卒業するまでの目の保養。

その位の気持ちでいるのが私には一番良い。

そろそろ受験が本格的に始まる頃だった。

好きだの嫌いだのやってる場合ではなかった。

俊也への気持ちを、私は一生懸命、封印しようとした。

私は今何より、志望校に合格したかった。

そして、新たな高校生活に期待し過ぎていた。

今が辛い分、未来は必ず今よりずっと良くなるものだと信じていた。

信じ込み過ぎていた。
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