百もの、語り。

2.折り紙



こう見えても俺さ、
小さい頃は結構モテてたんだよ。
いや、マジで。……笑うなよ。

まあそれはさ、小さい子のモテる基準って
面白い。とかだろ?
その頃はふざけてるだけで、
女の子に好きだって言われてたんだよ。

幼稚園で俺のモテ期はピークだったんだ。
……いや、今でも諦めてないから。
第2期とか来るからね?


で、その頃の事。
ある日幼稚園で、
お絵かきをする事になったんだ。

クレヨンを開けて、さて何描くかなーって
思ってたら、クレヨンの箱の中に
折り紙が入ってたんだ。

チューリップの形に折られてて、
広げてみると、中には何か書かれてた。

多分まだ文字があんまり書けない子からだったんだろうね。

文字ってよりは、絵に近かったよ。


でもその頃の俺は不思議な力でもあったか
いや、俺も文字が下手だったからか?
何故か、俺にはその手紙が読めたんだ。
周りに集まってた他の子は
誰も、その文字を認識出来なかったのに。


そこには、今日の夕方、
ブランコで遊ぼうって書かれてた。
あ、もちろん全部ひらがなで。

その頃、母さんはちょっと忙しくて
延長保育ってのを利用してたんだ。
でもあんまりそれに参加してる子が
他にいなかったから、いつも暇だった。

だから誰か解らないけど、
その手紙の約束を、楽しみにしてたんだ。



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