白銀の女神 紅の王Ⅱ
そう……私はもうすぐ結婚する。
シルバにプロポーズされたあの日から…エスト国のお姫様が来国した日からもう一か月が経とうとしていた。
結婚式は一か月後だと言われていたけれど、この一か月で着々と結婚式の準備は進み、残すところ3日となった。
この一か月間は本当にあっという間で、改めて結婚のことを考えたことはなかったからマリッジブルーかと聞かれるとそれは違う気がした。
だって、シルバの本当の妃になれることはとても嬉しい事だから。
今だってほら…プロポーズされた時の事を思い出せば胸がトクンと鳴って幸せな気持ちになるもの。
「やっぱりそうなんですか?」
不安げな表情でそう聞くニーナに慌てて首を横に振った。
「マリッジブルーじゃないわ」
そう言うと、ホッと安堵したように笑顔を見せるニーナ。
「けれど、マリッジブルーじゃなかったら他に何が…」
うーん…と頭を悩ませながらニーナが出した答えとは…
「シルバ様との結婚に何か不安があるんですか?」
「ないって言ったら嘘になるけど……不安を口に出したらシルバから怒られるから」
ニーナの問いにクスッと笑いながら答える。
シルバとの結婚が不安なしに決められたはずない。