龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
第二十話 駆け引き
家にたどり着いたのは、午前2時だった。

酔っ払った親戚のじい様連を撒き、愛しい志鶴のもとに帰ろうとした途端、従兄の要に呼び出され、警察沙汰になりかけた一族のトラブルを仲裁するよう頼まれた。


分かってる。

仕事だ。

これが僕の仕事なのは、承知しているさ。それでも精根尽き果てないわけじゃない。


家に帰ると、パジャマ姿の志鶴が、待ちくたびれてソファの上で眠っていた。

遅くなるから、先に寝ていてって言ったのに……

志鶴は、大きめのクッションを抱き抱えて頬をぺったり押し付けていた。そこは僕の定位置で、でも、こんなにぐっすり寝てるなら、僕の優位性はない事になる。

クッションで足りるんだ……

僕は苦笑いして、つけっぱなしのテレビを消した。
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