御曹司の溺愛エスコート
「さあ、薬を飲んで。楽になる」


蒼真が薬2錠をその場に起き上がった桜の口に入れて水を飲ます。


「蒼真兄さま……」


薬を飲みくだした桜はベッドの端に腰をかけた蒼真を見る。


「蒼真兄さまか……思い出したんだね?」


蒼真の言葉に桜がコクッと頷く。


「私は……これからどうすればいいの……?」

「桜……」


桜の苦しみが判るから蒼真は何も言えなかった。


「何も変わらない。桜は俺の側にいるんだ」

「……」

「今は眠るんだ。何も考えずに」


そう言われたものの桜はなかなか寝付けなかった。
蒼真の腕の中に抱き込まれた状態でまんじりともせずにいた。


目を閉じると秋月邸へ行った時の事を思い出した。


芳乃さん……。
私のせいでおば様にひどい言葉を言われてしまった。
ずっと働いていたのに私のせいで首になるかもしれない。
ううん。おば様の事だから一度言った事は撤回しないはず。
南条夫妻が辞めさせられちゃう……。


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