若恋【完】






自転車で長い坂道を下り、学校近くの本屋へと爽やかな4月の風を切って走ってく。

急げ急げ。

辿り着いた本屋で目当ての本を手に入れて、家で読むのも待ちきれずに、自転車を脇に置いて店の前の歩道の隅で読み始めた。




ズズズ。

遠くから車のマフラーの爆音が聞こえてくる。
だんだん近くなって、

ガコン!!

いきなり目の前の歩道に一台、黒塗りの高級車が猛スピードで突っ込み乗り上げ、タイヤ片方千切れて吹っ飛んだ。


キュルルル


タイヤのホイールが空回りする音が響いて、ゴムが焼けた臭いが白い煙りとともに辺りに充満した。



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