幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 2

「ご苦労だった」

王様は手を差し延べて、あたしを立ち上がらせた。

「ここまで気付かずに、事態を悪化させた余にも責任があるな」


「はい」


「はっきりともの言う娘だ」

王様は苦笑いを浮かべた。

「ところで、王妃は何をしているのだ?」


「看病だと思いますけれど?」


「医師でも薬士でもないのに?」


「少なくとも励ます事はできます。わたしなら、死ぬ時は王宮の天井より、王妃様のお顔を見たいと思いますが?」


王様は珍しいモノでも見るようにあたしを見た。


「マール修道院で王妃に仕えていたのだな?」


「はい」


「王妃はなぜ逃げなかったのだ? 苦労して影武者まで用意したのに」


あたしは内心の驚きを必死に隠した。

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