キミを想う。
第1章

「緊張」




「笹原」


「はい」


「笹原?いないのか?」


「先生、見えないんすかー?」


ケラケラ〜と笑いながら話す男子に、先生は「いるのか?」と確認するように座席を見渡した。



「もっと大きい声出せぇ」


「…はい」


そう答える私の声も恐らく届いてないんだろうな。



先生は気にする様子もなく出欠を取り直し始めた。



昔から大きい声を出すのが苦手で、人前に立つと余計に緊張して話せなくなる。


気付けばクラスからは、「声、聞いたことない」「話せないの?」等と言われるようになっていた。


私だって皆みたいに堂々と話したいよ。




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