君を探して
だけど、決断する日はやってきた。

いつものように4人で昼飯を食べていたときのことだ。

チョコが“オレ”の話題を深月に振った。

深月の嬉しそうな表情は、今までのそれとは明らかに違っていた。

それはまるで“オレ”に恋してるようだった。

“オレ”はオレなんだけど、でもオレじゃない。

聞いていてなんだかムカついた。

シイタケを深月の弁当箱めがけて放り込んだが、深月はそれを弁当箱のふたを盾にして余裕でブロックしやがった。

「あっちは深月のこと好きって言ってるんだろ? だったら、さっさと正体突き止めて、付き合っちゃえば?」

思わず口から出た言葉。自分で何を言ってるんだ。

だけど深月は即座に否定した。

「違うよっ!」

それは迷いのない返事だった。

「“オレ”は……そんなんじゃなくて……メール相手として成り立ってる関係だから……現実とは違うんだよ……」

……なんだよそれ。

“オレ”は一生、文字だけの存在か?

そんなの勘弁してくれ。


満足そうな深月の顔を見ていると腹立たしくて、

自分が何を食っているか分からなかった。
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