君を探して
考えれば考えるほど、焦ってしまう。

オレ……ヤマタロは、深月にとっていい友達で、
メル友の“オレ”は、画面上のやりとりで満足されていて……。

(どっちも駄目じゃん)

このままではどちらのオレも、アイツにとって“恋人”にはなり得ない。


……そうか。


オレは深月を見守るだけじゃイヤなんだ。
やっぱり、アイツときちんと向き合って恋愛したいんだ。



だけど、そんな日に限って、深月は挑発するようなことを言う。

<オレ様の正体について、考えてました>

急に、深月の声が聞きたくなった。

メールなんかじゃ、もう無理だ。

キーボードを叩いてメールを送る間に、オレの気持ちは余計なものをたくさん着込んでしまって、決してアイツの心に響かないような気がした。

“オレ”の正体とか、どうでもいい。

このままじゃ何も始まらない。

とにかく深月と話がしたかった。

声が聞きたかった。


だからオレは、そんな衝動をどうしても抑えられなくて、メールを送ってしまったんだ。


<今から電話したら、駄目か?>



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