わたしがお母さんになった日 ~16歳の妊娠~
「ありがとう。」

わたしは素直にお礼を言った。



それがわたしと晃司くんが初めて会話をした日だった。




もちろん以前から、クラスメイトとして挨拶は交わしていたけれど、別に友達というわけでもないし、それまであまり話をしたことはなかった。





晃司くんは、髪を整髪料でアレンジしたりしている、いわゆる今風なイメージの男の子だった。


わたしは晃司くんとは対照的に、あまりおしゃれなほうではなく、絵を描いていれば満足しているような女の子だった。


だからわたしが晃司くんと付き合うことになるなんて、その時は思ってもみなかった。






晃司くんはその後も、ちょくちょくわたしに話しかけてくるようになった。


わたしはいつも適当に返事を返していた。



それまで恋愛経験なしのわたしは、そういうことにはまったく鈍感で、晃司くんがわたしに関心を持っていることさえ、気づいていなかった。


その頃のわたしにとって、晃司くんは『となりの席の人』くらいの存在だった。




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