色をなくした世界
壊れた日
プルル~プルル~


嫌な予感は当たる。この日の事を雪乃は生涯忘れないだろう。

いつもなら鳴るはずのない時間に、電話が鳴った。


(・・・こんな時間に誰だろう・・・?)


恐る恐るディスプレイを見てみれば、


【和哉】


夫からだった。


「もしもし?どうした?」

いつもの様に電話に出れば、いつもの声が返ってくると思っていたのに・・・聞こえてきたのは知らない男性の声だった。


「風間和哉さんの奥様ですか?」

電話の向こうから聞こえてくる声に、頭の中でこれ以上聞いてはいけないと誰かが囁く。


悪い知らせだ・・・夫に何かあったのだろうかと思い、逸る気持ちを抑え雪乃は言葉を続けた。


「そうですが・・・どちら様でしょうか?」


男が小さく息をはく音がいやに大きく聞こえる。


「私・・・荒木警察署の山形と申します。誠に申しあげにくいのですが・・・」


そこで言葉を一旦切った山形は落ち着いて聞いてください。と念を押した。



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