使者の黙示録

・予想外の事態

翌朝――


(あの男か)


団司が部屋から出てくるのを待っていた野瀬は

団司の姿を確認すると、そのあとを追う。

腕時計に目を移すと、パチンコのホールが開店する時刻が迫っている。


グレーのスーツに身をつつむ野瀬の姿は、なんの変哲もないサラリーマンにしか見えない。

こざっぱりとセットされた髪型にありふれたネクタイ、適度に手入れされた靴で造るその姿は

上から下まで全体的に印象がうすく、目立たない。


手ぶらでメガネもかけていない野瀬が、人混みにまぎれると

霧のなかで全てを見失うがごとく、その存在がかき消されるように隠される。

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